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富山地方裁判所 昭和53年(わ)33号 判決 1978年6月26日

本籍

富山市下堀四一番地

住居

右同所

旅館業

松浦悦子

昭和七年一一月二三日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官小津博司出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役六月および罰金六〇〇万円に処する。

右罰金を完納できないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、富山市太田口通り一丁目二番地において「南国ホテル」、「ホテルハワイ」を、同市下熊野二四三番地において「ホテルフアミリー」を経営して旅館業を営むとともに、昭和五〇年三月まで高岡市あわら町六番三五号吉田ビル内において、それ以後は富山市千石町三丁目五番四号においてノーベル乳酸飲料等の販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、右各事業の売上金の一部を除外して簿外預金を設定するなどの行為により、その所得を秘匿したうえ

第一  同四九年分の所得金額は一八、九六三、一八一円で、これに対する所得税額は六、六六九、九〇〇円であつたのにかかわらず、同五〇年三月一五日、富山市丸の内一丁目五番一三号所在の富山税務署において、同署長に対し、所得金額が九、三八三、八〇九円であつて、これに対する所得金額が二、二六三、八〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、その所得税額四、四〇六、一〇〇円を免れ

第二  同五〇年分の所得金額は三二、六二五、四七八円であつて、これに対する所得税額は一三、六四一、二〇〇円であつたのにかかわらず、同五一年三月一五日、前記富山税務署において、同署長に対し、所得金額が八、一八九、九七二円であつて、これに対する所得税額が一、五二〇、七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、その所得税一二、一二〇、五〇〇円を免れ

第三  同五一年分の所得金額は三八、一一四、一九五円であつて、これに対する所得税額は一六、六二八、四〇〇円であつたのにかかわらず、同五二年三月一一日、前記富山税務署において、同署長に対し、所得金額が一〇、一七七、六一五円であつて、これに対する所得税額が二、二八九、四〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、その所得税一四、三三九、〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目) (註) 標目の下の( )内は、証拠等関係カード番号を表示

一、告発の事実につき

(一) 大蔵事務官高山一三作成告発書(1)

一、所得税の申告につき

(一) 大蔵事務官松本信作成証明書一二通(9ないし11、121ないし129)

(一) 検察事務官作成昭和五三年二月二三日付電話聴取書(12)

一、ほ脱につき

(一) 被告人の当公判廷における供述

(一) 被告人の検察官に対する供述調書五通(182ないし186)

(一) 被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一七通(165ないし181)

(一) 被告人作成上申書五通(37ないし40、119)

(一) 大蔵事務官高山一三作成脱税額計算書三通(2、4、6)、同付表三通(3、5、7)

(一) 金沢国税局調査査察部査察課長作成「松浦悦子の所得税法違反けん疑事件関係書類の送付について」と題する書面(8)

(一) 千葉実作成査察事件調査事績報告書一三通(18、41、65、78、81、83、85、88、90、91、99、101、102、104、105、107、109、120)

(一) 高山一三作成査察事件調査事績報告書三通(33、118、189)

(一) 柳原喜義作成査察事件調査事績報告書(45)

(一) 南出修宏作成査察事件調査事績報告書二〇通(55、58、63、64、72ないし74、77、80、84、86、87、89、103、110ないし113、115、117)

(一) 検察事務官作成昭和五三年二月二四日付報告書(二通、42、82)

(一) 大蔵事務官松本信作成青色申告の承認取消し決議書写(106)

(一) 木下保(14)、松浦龍作(17)、相沢良枝(20)、宮田イミ子(22)、小柴睦子(24)、東栄一(27)、山川亮二(30)、松浦博孝(49)の各検察官に対する供述調書

(一) 木下保(13)、松浦龍作(二通、15、16)、相沢良枝(19)、宮田イミ子(21)、小柴睦子(23)、東栄一(二通、25、26)、岡本敏雄(28)、山川亮二(29)、牧野敏雄(31)、広田政男(32)、松浦博孝(二通、47、48)、砂森忠夫(116)の各大蔵事務官に対する質問てん末書

(一) 筧田英二(三通、34、35、62)、松原寛(36)、島芳郎(43)、宮川正明(44)、高尾昌明(51)、谷崎浩平(52)、河野進(53)、頼成数雄(56)、亀田原道(57)、坂巻和巳(59)、荒木和夫(60)、品川忠三郎(61)、蔵島大吉(二通、66、67)、増山三雄(75)、細野清次郎(76)、扇原謙一(79)、太田功(三通、92、93、108)、大沢昭夫(二通、94、95)、安川孝(96)、大井稔(97)、高井信之(98)、越井昭弥(100)、山方光夫(114)、それぞれ作成のいずれも上申書

(一) 加藤元清作成供述書(46)

(一) 富山県税事務所長作成「県税の照会について(回答)」と題する書面(68)

(一) 富山市長・高岡市長各作成各「市税の照会について(回答)」と題する書面(69、70)

(一) 小杉町長作成「固定資産税の照会について(回答)」と題する書面(71)

(一) 押収にかかる売上帳(昭和五一年一一、一二月分)二冊(昭和五三年押第一九号の1)、売上帳(昭和五一年八月分)一冊(同押号の2)、総勘定元帳(フアミリー48-50年分)一冊(同押号の3)、総勘定元帳(松浦悦子五一年分)一冊(同押号の4)、総勘定元帳(松浦悦子分)一冊(同押号の5)、総勘定元帳(松浦龍作分)一冊(同押号の6)、ノーベル関係綴(ノーベル通信など)一綴(同押号の7)、ノーベル契約書一綴(同押号の8)、ノーベル関係綴(金銭出納簿の写など)一綴(同押号の9)、領収証二枚(同押号の10)、会計伝票五綴(同押号の11)、領収証三枚(同押号の12)、約束手形控一綴(同押号の13の1)約束手形二一枚(同押号の13の2、3、16の1ないし10、17の3ないし5、18の2ないし6、19の2)、領収証五枚(同押号の13の4)、名刺三枚(同押号の13の5)、領収証など綴一綴(同押号の14)、領収カード一枚(同押号の15)、小切手四枚(同押号の17の1、2、18の1、19の1)

(法令の適用)

一、判示所為

所得税法第二三八条第一項(併科)

一、併合加重

刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条(犯情の重い判示第三の罪の懲役刑に加重)、第四八条第二項

一、換刑処分

刑法第一八条

一、刑の執行猶予

刑法第二五条第一項第一号

(裁判官 岩野寿雄)

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